私の父は今年で77歳になります。数年前に脳梗塞になり、その後、右半身に後遺症があり、利き手の右手がうまく使えなかったり、歩くのが困難だったりします。1年前まではそれでも、自宅で一人暮らしを頑張っていました。
1年前までの父には、身体がうまく動かなくても、「誰かの助けは絶対に借りたくない」という気持ちがあったからです。その時は、私はまだ、大丈夫だなって思っていました。自分でやるっていう気持ちがあったから、、、、。
でも、その後、その気持ちも弱くなり、週に何度かヘルパーさんに来てもらうようになり、それが増えるにつれて、今までできていたことができなくなってきました。きっと、やりたくなくなったのかもしれません。
一番悲しいのは、息子のまひろが生まれてから、ほとんど毎日、じいじと携帯のLineで話をしていました。離れていても、息子の記憶に、または、じいじの記憶にお互いのことを覚えていて欲しいから。
でも、いつの日からか、携帯に出ることさえ父はできなくなりました。ずっとスマホを器用に使っていたのに。もう、携帯すら見なくなってしまいました。その変わってしまった現実にしばらく私は茫然としました。「いつも自分を全力で守ってくれた父がもう、そこにはいない、、、」そんな気がしたからです。
今、父は、介護レベルもあがり、ケアーホームで暮らしています。私は帰国するときは実家で兄、まひろ、じいじ、そして私とお泊り会を何度もしています。ケアーホームに外泊の許しを得て、じいじとの時間を楽しみにしています。
いつもは車椅子で生活している父も、孫の前では「しゃんとするのです」。これには、本当に涙が出そうになります。孫の前ではいつでも強いじいじでいたいんだなって、、、、。
私はまだ、父がとても元気だった時に約束したことがあります。2019年に日本でラクビーのワールドカップが開催されると決まった時に、「オールブラックスの試合に一緒に、絶対に行こう!」です。父はラクビーが他のどのスポーツより大好きです。
特にオールブラックスは本当に大好きです。日本では試合がなかなか見られないので、いつもぼやいていました。だから、私は父に約束しました。絶対にたくさんの試合に連れていくよ。私が世界のどこに住んでいても、、、、。
今の父にはもうラクビーはどうでもいいことになってしまったかもしれません。でも、帰国したときに、父に言いたいのです。
もう、チケットは購入したからね、来年の9月のオールブラックスの試合を見に行こうね。って。
父が「うん、行きたいね」って言ってくれたら、私はきっと泣いてしまうと思います。行きたいという気持ちを持ってくれたら、それだけで、嬉しいのです。父との約束、叶いますように。
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